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ゴールデンカムイのbluetokyoのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
3.7
冒頭は、日露戦争の戦場の一つ、二〇三高地。このシーンの臨場感、迫力がすごくて素晴らしいのである。思わず引き込まれる。なぜ、二〇三高地のシーンにこんなにもこだわったのかというと、ゴールド、金塊に結びついていくからだろうと思う。とはいえ、原作コミックはまったく未見なので、本当にそうなのかわからんけど。

ということで、二〇三高地から帰還した不死身の杉本が、ゴールド、金を求めて北海道に行くところから話が展開していく。北海道は冬、雪と氷に閉ざされていて、見渡す限りすべてが白銀の世界。二〇三高地の地獄の戦場シーンと豊饒で美しい大自然の景観とが見事に対照的だ。また、そこに暮らすアイヌの人々の集落や、アシリパの純真無垢なところが素朴でいい感じである。

そんななかに、金、ゴールドをめぐって、人間のどす黒く醜い欲望が、うごめきながら、集まってくるわけだ。脱獄囚人たちや第七師団の外道ぶりが面白い。

難を言えば、食レポみたいなのだとか、豆知識的なのだとか、しばしば、原作の小ネタが、差し挟まれていて、原作未見の身としては、ややうるさく感じてしまう。まあ、原作を見ている人とっては、そこらへんは、お約束的なツボをくすぐられるのだろうな。

クマとオオカミ、その他の動物のCGは、よく出来てはいるんだけど、やっぱし若干不自然に見えてしまう。これなら、劇場版アニメにした方がよかったのかもと思ってしまう。また、アイヌの暮らしぶりも、丁寧に再現してはあったが、あんなに人数が少ないものかなと思ってしまう。

あえて、実写にしたのは、戦場や殴り合い、撃ち合いなどのシーンの臨場感、迫力とアイヌの暮らしぶり、小樽の街並み、そういった、生活の温もりを表現したかったのだろう。とりあえず、それらは、成功していると思える。

不死身の杉本が、なぜ、金塊を求めているのか、その理由をアシリパに打ち明けたところで、映画は終わる。続編はあるんだろうね。
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