三樹夫

ウィキッド ふたりの魔女の三樹夫のレビュー・感想・評価

ウィキッド ふたりの魔女(2024年製作の映画)
3.7
映画は『オズの魔法使い』の直後から始まり、悪い魔女が死んだと喜ぶ民とは反対にどこか浮かない顔をする北の魔女。実は北の魔女と西の魔女は元々友達で、実はこんなことがあったと回想する、『オズの魔法使い』の前日譚。これ『オズの魔法使い』の悪い魔女に全くつながらなくない?と思ったらto be continuedと出た。2部作ある内の1作目がこの映画とのこと。

冒頭にオズの世界で動物たちを迫害するきな臭いことになっていたとテロップが出て、差別についての映画なんだということが一発で分かる。というよりトランプが大統領になったアメリカのメタファーかもしれないけど。緑色の肌で生まれたことで迫害を受けてきた後の西の魔女のエルファバが主役で、エルファバ以外の連中がマジで碌でもない。内容的にはよくあるアメリカの学園ものみたいな感じで(実際に大学が舞台だし)、いじめっ子の嫌味なブロンド白人とかが出てくる。それを主にやっているのがもう1人の北の魔女グリンダの若い時アリアナ・グランデで、こいつが無自覚に差別地雷を踏みまくる。無自覚に差別的行為になっちゃてる典型的な白人という役だった。山羊の発音いじりとかを思いっきりやってくる結構嫌な奴で、ただし本人は嫌がらせでやっているわけではなく、そういった解像度が低い人、そういったアンテナの低い人、そういったことに対する意識が低い人という感じで、劇中ほぼいい所が無い。アカデミー賞におけるロバートダウニーjrやエマ・ストーンみたいなことをアジア人に対して普通にしそうな人というか、これが『キックアス2』ならゲリゲロ棒くらってたような人になっている。エルファバがどれだけ頑張っても、ちょっと連帯示しただけのグリンダが誰よりも賞賛を受けるという地獄みたいなことになってた。お前はほとんど何もしてねぇだろという。ゲタをはいていることに全く気付いていない。
途中から参加する王子は、なんか共和党に投票してそうな奴だった。難しいこととか考えずに楽しいことだけ考えるみたいな、新しい奴が出てきたと思ったらバカな上に、オズの世界がどんどんナチスみたいなことになっていく。

前日譚で、エルファバがどうあの悪い魔女になるのかがゴールということもあり、『スター・ウォーズ 』プリクエル3部作感があった。オズの世界も見た目が『スター・ウォーズ 』プリクエルっぽい世界だったし。
この内容で2時間40分は長い。歌うたっているから長くなるというのもあるけど、話が進むのが遅いのと、わりかしアメリカ学園もののテンプレ尽くしをファンタジー世界でやっているので、よくあるアメリカ学園ものの2時間以内に終わるようなやつに歌がくっ付いて2時間40分になっているので、観ていて長いというのが頭に思い浮かぶ。
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