ある街に流れ者のチャールズ・ブロンソンがやってきた。そこでは殴り合いの賭け事が行われており、素寒貧マネージャーのジェームズ・コバーンと組んだブロンソンは相手のファイターを一発で叩きのめした。そして街の金持ちが飼うハゲと戦おうとするが、試合をするには3000ドル必要と言われ、ジェームズ・コバーンが半端じゃねぇ利子でヤクザから金を借りる。
ウォルター・ヒルのデビュー作、チャールズ・ブロンソンとジェームズ・コバーン、プロデューサーはローレンス・ゴードンという、とんでもなく暑苦しい映画だが、異様に淡々としている映画でもある。
まず貨物列車でブロンソンが街にやってくる。客車ではなく貨物列車でやってくるというので、武骨な男がやってきたというのが示される。まあそんなことしなくてもブロンソンの時点でとは思うが、この映画はこのように男性性要素を積みまくってくる。ブロンソンがやってきてなにをするかというと、殴り合いの賭けであり、半端じゃなく男性性がプンプンだが、さらに男の妄想みたいなナンパの仕方で、しかも行きたいときに家に行き帰りたいときに帰るというので男に超都合のいい女が出てくるが、これをやっているのがブロンソンの妻ジル・アイアランドという、公私混同が伺えるキャスティング。別れ方も定職に就いているおそらくブロンソンとは真逆の人間と付き合うことになったというので、一抹の寂しさを感じる孤独な男と感傷的になりつつ男性性をくすぐるし、ギャンブルで金すったジェームズ・コバーンのために戦うというのも男性性をくすぐり、男が観てくぅ~ってなるような男性性要素を積み重ねていく。殴り合いするのもつなぎ(between)とのこと。
かなりスローテンポで、一つ一つの場面がもの凄くゆったりしているし、殴り合いはもっさりしたアクションになっている。相手のファイターをキャラ立てすることも特になく、淡々と殴り合いしていく約90分。ブロンソンの肉体(上半身裸)を見せるためのシチュエーションありきな気はし、金持ちがシカゴからファイターを連れてきたとなった時の残りの時間が、今まで何でこんな時間とってゆったりしてたんだと多少は思うぐらいには時間配分はアバウトな感じになっている。話の展開とかで引き付けるってとこには特に重点を置いていないので、わりかし素材のままのブロンソンを楽しめるのかも。肉にタレをつけずに、肉そのままの味を楽しむみたいな感じ。