ぶみ

#マンホールのぶみのレビュー・感想・評価

#マンホール(2023年製作の映画)
4.0
さて、先週末の封切り作品は、観たいものが目白押しであったため、先月に続き、昨日は今年二回目の三本はしごを敢行。
その一本目がこちら。

この穴、何かがおかしい。

熊切和嘉監督、中島裕翔主演によるスリラー。
結婚式前夜、パーティーの帰り道に酩酊し、マンホールの穴に落ちてしまった男の姿を描く。
不動産会社の営業マンである主人公を中島、元カノを奈緒、同期を永山絢斗が演じており、他にもチョイ役で何名か登場。
物語は、あらすじのとおり、マンホールに落ちてしまった主人公が描かれるが、舞台の大半が穴の中なので、ほぼほぼ、映っているのは中島のみ。
先日観た『FALL/フォール』が地上から600mある上空というシチュエーションで絶望感満載であったのに対し、本作品は地下8mという穴であり、持っているアイテムもそれなりに揃っているので、絶望感は小さいものの、落ちた場所すらわからない件の辺りから、物語はぐんぐん加速して行くことに。
また、スマホでSNSを駆使して助けを求める様は、一昔前では成立しなかった手法であり、まさに時代を切り取ったものであるとともに、その情報に躍らされてしまうというのも何とも皮肉なところ。
そして、前半はソリッドシチュエーションのサバイバルものとして展開するのに対し、後半は、そもそもこれが事故なのかという謎に迫るスリラーに舵を切って行くと同時に、序盤から感じていた違和感を見事に回収することとなる脚本が秀逸。
一見ハイスペックな男ながら、クズっぷりも凄まじい主人公を中島が見事に演じているとともに、ツッコミどころは多々あれど、ネタバレ厳禁の結末は、まさに想定外であり、洋画に負けず劣らずのサバイバル・スリラーを存分に堪能できる良作。

正義に乾杯!
ぶみ

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