ユーライ

#マンホールのユーライのレビュー・感想・評価

#マンホール(2023年製作の映画)
4.1
上映時間の都合が良かったからという不純な理由で観た。全然悪くない。作家性の強い監督がジャンル映画を手掛けるの面白さがちゃんとある。ウェルメイドなワンシチュエーションスリラーにすることも可能なのに、本来の持ち味である純文学的志向がグググッと前面化していった結果、不条理劇と形容したくなるような格調がある。今度は直木賞なんですねと思っていたら、普通に芥川賞だったみたいな感じだ。タイトルから仕込みを済ませてTwitterを通した現代の病理を打つ筋書きではあるが、蛆が湧いた死体と切り返して「俺は誰だ」と実存的問いかけをするのは90年代だろ。あえて女性名義でアカウントを作って釣るといった露悪描写を嬉々としながらブラックユーモアとして処理していく手つきもらしい。鬼畜系ブームに乗っかって『鬼畜大宴会』をデビュー作で撮った人であることを意識させる。ハイスペ中島裕翔クンが無自覚だからこそ周囲の殺意を買って、身に覚えのない悪意に晒される嗚呼可哀想で通した方がイケメンをいじめたい性癖の方々には都合が良かったかも知れないが、途中から川尻浩作になる底抜け具合もそれはそれで。私にとって奈緒は『ワンエグ』でリカの母親である川井千秋を演じた声優として認識されているが、顔出しNG声のみを聴いてやっぱりこの人声優も向いていると強く思った。ASMRが欲しい……。
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