ユーライ

ヴィレッジのユーライのレビュー・感想・評価

ヴィレッジ(2023年製作の映画)
3.0
柳町光男『火まつり』には及ぶべくもない。色々言われた『新聞記者』の頃から一向に改善されない「社会派気取って世界観が漫画」である悪癖が垂れ流されている。寓話にもなり切れてない。マーティン・マクドナーって上手かったんだなーと思います。閉塞感漂う村をブレランチックにスモーク焚かせた「場」として演出しようとしているが、この時点で上手くいっていない。どういう位置関係なのかよく分からないんだよな。登場人物ではなくキャラクターと称したくなるような人々も一様に記号的・類型的。特に酷いのは物言わぬ婆が今際の際にポツリ……。こんなババア、現実にはどこ探したっていやしねえよ。漫画じゃあるまいし……。「NTRれる幼馴染」を体現したような黒木華、なんて都合のいい女なんだ。それを卑しく付け狙う『宮本から君へ』の一ノ瀬ワタル……あっこれアカンですよと思っていたら案の定NTR。見え透いた結末への振りがくどい。そんな何回も家政婦は見た!みたいなカット入れなくていいって。この出来の悪いエロ漫画的挿話からも分かる通り、クソ田舎の実態にしてもどこかで見たようなものばかりで目新しさは全くない。そして仮にも社会派の癖に許し難いのは、何らかの障害持ちであろう青年の取り扱い方だ。障害者で知能の遅れも見られるならば、成長してなおピュアな心を持ち続け、本質をズバリ見抜くことが出来、悪しき因習も撃ち抜くことが出来る希望足りうると、こうおっしゃりたい訳だ。刺したろか。今なら放火する横浜流星の気持ちが分かる。斯様な「聖なる白痴」を登場させることは、逆に製作者の障害者に対する差別偏見丸出しに他ならぬ、結局24時間テレビかよと、このように思うのであります。作品の価値を著しく下げる。はっきり言って信用出来ねぇ。手帳割引で観させてもらっている以上、厳しくいかねばならんのです。結局さー、社会派気取ってお文化活動しながらアタマ良く見せたいだけなんやろ?という疑惑が拭えないのだ。もっと様式化されたジャンルだけやってればいいんじゃないですか。『最後まで行く』には期待してます。
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