ゆみモン

ヴィレッジのゆみモンのレビュー・感想・評価

ヴィレッジ(2023年製作の映画)
3.5
重苦しくて辛い映画だ。
でも、こういうのは嫌いではない。

美しい自然と神秘的な薪能が魅力的な村を舞台に、ゴミ処理施設で働く青年の人生が、幼なじみが東京から戻ったことをきっかけに変化していく。
そこには胸糞悪い、村の閉塞感、“目上の人々”による同調圧力、権力者と普通の人々の“身分違い”による格差、慢性的な貧困が蔓延る。
その“正義や悪”といった単純な二項対立では割り切れない問題や、強烈な矛盾のうえに成立している社会のあり方が描かれている。

登場人物たちの未来に、残念ながら希望は見えないが、いろいろ考えさせられる作品だった。

横浜流星が、こんなに繊細な演技をするとは思わなかった。『春に散る』も良かったが、また違う魅力が見られた。
そして、周りを固める個性派実力派キャスト陣が素晴らしい。
古田新太、西田尚美、中村獅童…等など。圧巻は、老けメイクではじめは誰だかわからなかった木野花だ。台詞も動きもない老婆(村長の母)なのに、圧倒的な存在感だ。