このレビューはネタバレを含みます
アルジェントの10年ぶりの新作。
なんでしょう、ずっとニマニマしてる映画でした。
良い意味でのマンネリ感と言おうか。
匠が見せる落語や漫才のような、散りばめられたお約束が流れていく。
展開という意味では全くもって新鮮味はないのだが(笑)、そのお約束が嬉しく楽しい。そしてこれこそが観たかったものだ!とつくづく思う。
ただ今回は、これまでのお約束を知っているからこそ楽しめる仕掛けになっている。
まさか盲目の人が、しかも娼婦が主人公で、なんとアーシアが脇に回った挙げ句殺られる!父による娘殺し!
懐かしいを通り越してクラシックな風情すら漂う音楽も癖になり、やがて陶酔へ。
相変わらず犯人の動機はどうでも良いようで、無能な警察は特に何もしてくれない。
ただ今回は、主人公と心を通わせた少年との少し寂しいけど爽やかな別れがあり、唐突ではなか余韻の残るエンディングを迎える。
いやはや、お約束と新鮮味が同時に味わえる、愉快な作品でした