何度も観てきた作品ではあるが、この度オーケストラの生演奏と共に観るという素晴らしい時間を得た。
そしてそれは、映画が面白すぎて生演奏なのを忘れるという、本当に贅沢の限りを尽くす体験であった。
素晴らしい映画を観終わった後に思う存分拍手できるのも、これまたかけがえのない体験だと思う。
この作品が公開された頃の私は、ちょうど劇中のティムと同じくらいの歳。
その頃は本作の影響で恐竜ブームが訪れたと記憶する。
私もまた然りで、周りのみんなと同様にちょっとした恐竜博士になったものである(ちなみに好きな恐竜はアンキロサウルス)
マイケル·クライトンによる原作は、マルコム博士の唱えるカオス理論に基づき人間の思い上がりを強調していた印象がある。
本作はそんな人間の思い上がりを指摘しつつも、恐竜がもたらすロマン、過去なのに未知の世界に踏み込む冒険といった娯楽要素をふんだんに盛り込んで、満点に楽しさを満喫させてくれるバランスも持った作品だと感じる。
そして改めて驚くのは、もはや30年ほど前の作品でありつつもまるで不自然さを感じない恐竜たちの質感や動き。
もちろんそれがその後のシリーズでさらに洗練されたのは認識するが、いやしかし本作のクオリティは凄い。
ラプトルは本気で嫌いになるもんなあ…。
エンドロールの効果陣のビッグネームの揃うことよ(笑)
そしてエンタメの前には多少の辻褄合わずは気にせぬスピルバーグ節。その後のシリーズで決定付けられたT-REX裁きも爽快。
こういう作品に多感な時期に触れることができたのは、自分が思っている石川に幸せなことであろう
しかし、本作を最高の体験に押し上げてくれるのはやはりジョン·ウィリアムズの音楽ではなかろうか。
その後も踏襲される、入り江に空から突入するシークエンス。
そして全てが決着を見た後に、冒険·夢·ロマンとその現実をも包み込んでくれる美しい御調。