あさ

ウエスト・サイド物語のあさのレビュー・感想・評価

ウエスト・サイド物語(1961年製作の映画)
3.7
勝手な偏見でぱっぱらぱ〜なハッピーミュージカルだと思ってた時期があったのだけど、メッセージ性がすごいな。アメリカ版ロミジュリ。どんな場所でもドクみたいな大人が1人は必要…。

「どうして戦争をするのか、」
特に戦後の作品だからっていうのもあるけど、刺さる言葉。不良の(と言われたくはなのだろうけど)縄張り争いとか、そんな些細なことで人が死んで、戦争になってしまうんだよね。

人種やルーツの違い。いくら同じ場所に住んでいようが、どれだけ長くその国にいて言語を習得したとしても、nativesには排斥心が芽生えてしまうもの。難しい。本能なのかな、今も続く社会問題について考えさせられる。

わたしが見ていてもトニーがポーランド系なんてぱっと見じゃわからないけど、
日本にいたらぱっと見で中国人、韓国人、とか同じアジア系でも違うなって直感するときあるもんね。話してれば余計わかる。

今だってヘイト問題は絶えないし、手を取り合って平等な賃金もらって生活してるかと言ったら答えはノーだもん。あんまり変わってないよな。

女性の立ち位置についても。とにかく男性優位な社会を自覚しながら映画を作ってるなとおもった。当時の方が色濃いと思いがちだけど、この問題も今もさほど変わらないのでは。

シャーク団の紅一点(エニィ)に"buddy boy"「よくやった」ていう場面があった。
「男らしいな」というboy。女は失せな!という社会に変わりはないけど、少なからず実力主義的というか、やったことに対する称賛はできるのはいいなと。

ただその後のアニタがドクの店でトニーに知らせに来るシーン。あそこでシャーク団が彼女に乱暴するときに、エニィが同じように売女!みたいな空気を作るの、ま〜複雑

彼女は男になりたがっているというより、男と変わらず認めて欲しい!というキャラとして見ていたので、まあ…まあ…。


通しで見終わって印象的なのは冒頭でした。指パッチンからどんどん動作が大きくなって、シマを所有してるんだぜと言わんばかりのダンス。ミュージカルって非現実的だけど、こうやって表現するのって単純に面白い。いつか機会があったら舞台版も観てみたいな。
あさ

あさ