n0701

ファンタスティック・プラネットのn0701のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

結局この物語は、異星人に着させられた格好を他の地球人に笑われてしまうところに集約されている。

つまり、価値観の相違。

全く見たことも聞いたこともない動植物や現象。根本的にルールが違う世界に人間が住んでいたら?

この「もし」を具体化したものだ。
何より世界観が終始しっかりとしている。人間には分からない物事は説明せず、あたかも常識かのように取り扱われるため、衝撃的だ。

おそらく、子供は何にでも順応する適応性に優れているということを元に、生まれたばかりの赤ん坊が、なんの入れ知恵もなく、その惑星で革命を起こすとしたら?ということがコンセプトの根底にある。

最後、いくつかある星のうち、人口惑星地球「テール」を紹介しながら、共存のための和平を行ったことを考えると、地球に人間が住み始める前の物語だと考えられる。

しかし、巨人たちは食事や生産的な労働を行わず、瞑想という名の性行為を繰り返すだけの(およそ人間とは価値観の異なる)不思議な生活をしていた。

価値観が異なるとは不気味なことだ。
「普通」が違うということは怖いことだ。
常識が通用しないとは恐ろしいことだ。

だが人間はその絶望的に回避困難なことを無理無理打破してきた経緯がある。その逞しい精神を、異世界から革命までの歴史を紐解くかのごとく描くこの作品には、ただただ脱帽だ。
n0701

n0701