"もう、ママと呼んじゃダメなの"
"僕の頭の中だけならいいよね…"
シモンを里子として受け入れて4年と数ヶ月…賑やかなれど穏やかな日々…それはずっと続くと思っていた…
月に一度の面会を続けてきたシモンの実父エディから、息子との暮らしを再開したい旨の申し出をうける里親のアンナとドリスは、突然、家族としていられるタイムリミットが迫り、動揺を隠せないアンナとドリスの選択は…
フランスの里親制度を基に、"家族とは"を考えさせられる秀作です。
生後18ヶ月から、里子シモンを育てるアンナとドリスにとっては、シモンはもはや実子…一方、妻に先立たれ生活が荒れ果て、生まれたばかりのシモンを育てられず、やむなく里子に出した実父エディも深くシモンを愛している…皆が里子シモンの幸せを願い、シモンを想えば想う程、幼いシモンが理不尽に振り回されているようにも見え、なんだか複雑…皆、悪い人じゃないんですけど、自分がシモンにとって一番必要なんだというアピール合戦のようになり、里親と実父との関係性には、終始ハラハラさせられます。
収拾がつかなくなるからこその公的機関の判断は、ある意味冷徹とも言える判断が必要なのだと思います。
社会全体で子供を育てようとする試みである仕組みなのかもしれませんが、純粋に母を求める子供の姿を無視出来ないよなと切なさに身が震え、じわりと心に残る作品でした。
