まさわ

愛する人に伝える言葉のまさわのレビュー・感想・評価

愛する人に伝える言葉(2021年製作の映画)
3.9
「闘病モノ」かと見るつもりはなかったのだが(フィクションで、泣いちゃうのわかってるものをわざわざ見るのが苦手で…)、脚本に『あのこと』のマルシア・ロマーノの名前があったので見た。
そうしたら、マジメルが演技専門学校の先生役のため演劇論が入ってたり、病院で看護師たちの精神的負担を軽くするためのユニークなミーティングとか、病棟にミュージシャンが常駐してたり、タンゴのダンサーが病室で踊ったりとフランスの医療現場の、日本との違いにすっかり驚き興味深く、面白かった。

しかも劇中での主治医役が、レバノン出身でニューヨークで実際に化学療法や緩和ケアの医師として活動してる人(ガブリエル・サラ)だというので、公式サイト見てからさらにびっくり。
闘病してると周囲の期待に応えようとムリに「ヒーロー」になってしまう患者がいること、そういう患者に「命を終えていい」と許可を与えることも見送る側には必要なんだというサラ医師の哲学が反映された脚本なんだろう。

また国立演劇学校を受験する若者たちにいろんなシチュエーションで演技してもらい指導するシーンがあるんだけど、他人の肉体と感情を使ってなされる演劇という表現の怖さにじかに触れたようで、わたしは見ていてひやりとした。こうやって日々「消費」していいものじゃないのに手軽に見てしまってる…そんな胸騒ぎした印象に残るシーン。
まさわ

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