おかもと

劇場版 荒野に希望の灯をともすのおかもとのレビュー・感想・評価

4.8
大人になってから観た中で、最も感銘を受けた一本。

中村哲医師については、訃報のニュースで見た「アフガンのために尽力した方」という最低限の知識のみで鑑賞。

病院を作りモスクを作り、学校まで作り…。
水がないと作物が穫れず、いくら治療を施しても根本的な解決にならないからと、専門外の水路まで建設してしまう。
日本でアフガンの窮状を訴える講演会を開き、2億円もの寄付を集め、江戸時代の日本の堰の構造を独学で吸収し、資材の少ないアフガンで工事の先頭に立つ。
小柄でポソポソ喋る大人しそうな人が、政府が行うようなことを個人でやってのけてしまう行動力と頭脳に度肝を抜かれた。

中村医師のその行動原理が、「あまりの不平等という不条理に対しての復讐」というのがまた…。
物静かで、暴力を否定する忍耐の人なのに、「復讐」という激しい言葉を使うところが、内面のパッションが垣間見えるようだった。

そしてこんなに献身的で偉大な人物が、銃撃によって殺害されるというさらなる不条理。
この世はなんと厳しいのだろう…。

それにしても、2億円も寄付を集められ、ご本人の著作も複数あり、存命中に知ろうと思えば知れるはずだった中村医師のことを、全く知らなかった自分が恥ずかしくなった。
遅すぎるくらいだが、こんな方がいたということを知れて本当に良かったし、彼の真似は到底できないけれど、今後の自分の人生において大切な指針としたい人物だと思った。
おかもと

おかもと