戦火の絶えないアフガニスタンの砂漠を、本当に緑の大地に変えてしまうなんて、誰もが不可能だと思うでしょう。
それをみごとに成し遂げた中村哲さんの存在を後世に残すという意味で、非常に重要な作品。
その30年以上に及ぶ活動を改めてたどると、スケールの大きさに圧倒される。ご本人は常に穏やかで淡々としてるんだけれども。
中村哲さんはアフガニスタンの文化や伝統を尊重していた。映画の中で子供たちが学校で学ぶシーンがあるんだけど、そこに映っているのは男の子ばかり。タリバン政権下で女性が満足に教育を受けられないという報道を見ている自分は違和感を覚えてしまうんだけど、そんな状況をただすとしても、外国勢力ではなくてアフガニスタン人の手によるべきだと、中村哲さんなら言ったんじゃないだろうか。
SDGsなんて浮ついた言葉ではすくいきれない現実がそこにはある。
今回、映画を観て知ったのは、中村哲さんは日本人の利他の精神を信じてペシャワール会を立ち上げたということ。
その想いを裏切ってはいけないと思った。