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ザ・メニューのtttのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

・手を鳴らすことで緊張感が走る。区切り。ゲームで次のステージに行った時みたいな感覚。次の展開、判明する真実に、不安と期待が入り混じる。手を鳴らさずとも似たような手法はどこかで使えそう。
・最初は料理の楽しみ方を知らない自分、芸術に対する観点が乏しい自分を意識して見てしまった。ただ物語が進むにつれてその劣等感のようなものは薄れていった。物語の展開に意識が向いたのもあると思うが、嗜好性を極めた先にある狂気を感じて、少し身を引いてしまった気がする。登場人物(消費者)の大半もシェフ(作者)が創る料理(芸術)のことを理解できていない、あるいはそもそも関心がない。理解できない(しようとしない)が故に、作者の破滅的行動に巻き込まれてしまう。マーゴに関しては、馬鹿にされていると料理を口にすらしない。今自分にとって最も意味のあるように感じる芸術を極めたところで、他人に届かないものは届かない。
唯一タイラーは理解でき全てを言葉にして賞賛するが、それ故に「君のせいで芸術の神秘が丸見えだ」と言われる。確かに自分の作品が誰かの手によって事細かに言語化されると冷めることがある。理解されたいが、理解され過ぎる(というより言語化される?)のは、気持ちが悪い。ジレンマか。でもこれは作者の価値観によって違いそう。
・チーズバーガー=大衆向け/王道=芸術家にとっての創作の原点 かなと思った。原点見失うくらい極めることも大事だけど、結局本当に作って届けたいもの、そしてきちんと届くものは原点にあるということだろうか。
・それにしても終わり方はなんだかあっさり。うーん、とはいえどうすりゃいいんだ。
・最後みんな逃げる気も失せてしまっていて、マーゴが1人帰るのも何も言わず見届けるのは、なんだか嘘っぽいような気持ちが良いような。全員の気力を削ぐことが、シェフにとっての下ごしらえのようなものか。
・チーズバーガー持ち帰りしたい。
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