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イコライザー THE FINALのすずきのレビュー・感想・評価

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)
3.2
イタリアのシチリア島までマフィアを殺しにやってきたマッコールさん。
仕事をやり遂げたあと、ふとした油断で重傷を負う。
担ぎ込まれた所は、素朴な港町の町医者。
事情も聞かず、訳ありのマッコールさんを受け入れてくれた医者と町の人々。
そんな優しいこの町にも、マフィアの地上げ屋の手が迫っていた。
マッコールさんは恩返しとして、マフィアを全員あの世送りにしましたとさ。
〜おわり〜

私はロバート・マッコールさんというキャラクターが好きだ。
彼は基本的に善人であり、正義の味方だ。
彼は自分に出来る事で誰かが幸せになれるなら、進んでそれを実行する、彼の人格を嫌いな人はいないと思う。
しかし彼は、社会に適応出来ている精神異常者でもあると私は思う。
不眠症で几帳面な偏執狂のきらいがあり、そして何より人殺しに心を痛めないサイコパスである。
彼が一度牙を剥けば、迷いはなく行動し、芸術的なまでに鮮やかな人殺しのスキルを見せる。
だからそんなマッコールさんが私は大好きだ。

本作は完結編と名を打ってあるが、マッコールさんのルーツに関わった前作からはスケールはダウン。
第1作のように、地域に根付いた悪に首を突っ込み皆殺しにするお話です。

しかし良くなかったのは、アクションに入るまでのタメが長い事。
マッコールさんと港町の人々との温かい交流が見られるが、やっぱり人殺しシーンが見たいんだよなぁ。

そして、肝心のアクションシーンも、「ジョン・ウィック:コンセクエンス」見た後だとどうしてもボリューム不足。
マッコールさんはとても賢いから、敵の兵隊が揃うのを待つ事なんてしない。
相手が油断している所を、鮮やかに忍殺するのだ。
そんなクライマックスだから、食い足りない感が半端ない。
"忍び"とは 見えない悪を 倒して平和に 変えること、とは言うけれど、もうちょっと大々的にドンパチやってもいいのよ…
第1作がクライマックスも全体的にも1番面白かったシリーズになっちゃったな。

ストーリーの最初の展開がご都合な部分が2つ。
1つは、マッコールさんが偶然担ぎ込まれた医者が良い人過ぎる事。
怪しげな荷物を持った外国人が現れて、おまけに銃で撃たれて重傷とか、どう見ても厄介ごとしかない。
マッコールさんの人格を知る前から、事情も聞かずに当局にも黙って匿ってくれる人なんて存在しねえよ!

もう1つは、そもそもマッコールさんが撃たれた理由だけど、マフィアのボスの幼い息子に油断して撃たれてしまった事。
幼いとはいえ殺した男の息子だし、撃たれる理由は充分。
マッコールさんは、車に銃がない事も確認せず、男の子を車に残したまま背を向けてしまう。
いや、これで撃たれるのはプロとして迂闊過ぎるでしょ…。
ましてやあのマッコールさんだから、彼が油断してあっさり撃たれてしまうのは、どうしてもご都合に感じてしまった。

数は少なかったけれど、一人一人の殺し方はバリエーションに富んでいて、丁寧な殺害でした。
特に眼窩に銃口ブッ刺して、そのまま別の敵を撃つ殺り方は面白かった!