すずき

DUNE/デューン 砂の惑星のすずきのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
4.0
砂の惑星、デューン。
「スパイス」と呼ばれるエネルギー物質の採掘を目的に、銀河帝国から派遣されたハルコンネン男爵は、原住民フレメン族を暴力による圧政を敷いていた。
しかしある日、男爵は皇帝の命により罷免され、フレメンと融和路線の穏健派であるアトレイデス侯爵が後任となる。
だがこの赴任自体が、帝国内で力を増している侯爵家を辺境の星で亡き者にせんとする、皇帝と男爵の策謀であった。
侯爵の1人息子であるポールは、「魔女」である母の不思議な力を受け継ぎ、毎夜不吉な予知夢に悩まされていた。
フレメン達の中には、そんな彼を予言された救世主だと信じる者達がいた…

かつてホドロフスキー監督が「サタンタンゴ」並の上映時間で企画したが頓挫。
そして後年リンチ監督により製作されたが、3時間の上映時間を2時間強にカットされ公開、案の定評価は散々。
そんな実写化に呪われた作品が、本作「DUNE」である。「づね」ではない。「鳥取」でもない。
過去の2作と違い、この重厚な原作を一本の映画作品に纏める事は諦め、最初からシリーズ前提で製作された。
その為、本作の内容は完全にプロローグ。
「ジャスティス・リーグ」のような思わせぶりな未来が断片的に描かれるが、本作の時点では主人公の運命はそこまで辿り着けず、ラスボスに至ってはほぼモブと言ってもいいCV高木渉のチンピラである。
だが、壮大なサーガのプロローグとしては素晴らしく、是非シリーズを追ってみたい!と思わせる第1章だった。

同じスペースオペラである「スターウォーズ」シリーズと比較すると、こちらの方がシリアスな雰囲気。
「スターウォーズ」のジャリ(子供)っぽい雰囲気も好きなんだけど、しかし映像としては新3部作より「デューン」の方がよっぽど、俺が見たかった「スターウォーズ」の映像だ。
ドゥニ・ヴィルヌーブ監督は、元々すごく雰囲気作りの上手い監督だと思っていたけど、今まで彼の作品はケレン味とリアルさのバランスが脚本と上手く噛み合ってない気がして、あまり合わない監督だった。
しかし、本作ではガッチリハマってる!

ストーリーは重厚だけど、意外に難しくない。
宇宙を舞台にしつつも、近世ヨーロッパのような世界観。
帝国が求める物質が「スパイス」と呼ばれる所も、現実世界での胡椒を連想させる。
東インド会社とかアジア・アフリカの植民地の歴史を下敷きにしているのかな、と入り込みやすかった。

キャラクターと、それを演じる役者(あと日本語吹替声優)が凄く良かった!
主人公ポールを演じるのはティモシー・シャラメ君で、甘いマスク、という言葉が似合う超絶イケメン。
しかも高身長でスリム・スマートなモデル体型!素敵〜!
ヒロインのゼンデイヤちゃんも、ティモシーと並んでも違和感無いぐらいカッコ可愛い!今回は顔見せ程度だけど…。

今作で退場するキャラクターも多いけれど、どれも何処かで見た(聞いた)事のある奴らばかりで、オールスター並の豪華俳優陣!
中でもいいキャラしてたのが、ジェイソン・モモア演じるダンカン。
国内一の剣士であり、パイロットとしても一流、見た目通りのナイスガイ。
そして主人公の剣の師匠でもあり、歳の離れた友人でもある。
侯爵の跡取りであるポールが年相応な態度と表情を見せられるのはダンカンと接する時だけ、という非常に美味しい設定だらけのキャラ。
劇中で詳しく描かれない、彼が先遣隊としてデューンに派遣され、フレメン達から信頼を勝ち取るまで、のストーリーでスピンオフ作品として映画一本作れそうだ。