Okanori

ウォダベ 太陽の牧夫たちのOkanoriのレビュー・感想・評価

ウォダベ 太陽の牧夫たち(1989年製作の映画)
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フライヤーのビジュアルにも使われている、目を見開き歯を見せて笑う人たちを写真集などで何度か見たことがあり、動いている所が見てみたい…という好奇心から観た。




(下記ネタバレ含む)

その仕草は彼らにとって最も魅力的な表情とされていて、若い男たちが若い娘たちに選ばれるために、化粧をし、羽根を飾り、精一杯背伸びをし、並んで何か儀式的な歌を歌っていた。
選ぶ権利は娘たちにあり、選ばれたら初対面のまま一夜を共にするのだそうだ。

この、少し前の現代とは全く違う文化に、やはり今「普通」とされている今の婚姻の形だって、ひとつの文化の形でしかない…と思うのと同時に、

この若い男の子たちが前日に「魅力的な娘は見つけたか?」「いや、あんまり美しい子はいなかった」「俺は目当ての子に目で合図をしたけどどうかな…」「自分も美しい顔ではないから、見た目はともかく、気立てがよくて、個性がある子がいい」「個性は大事!」
とかなんとか、話してる内容は自分が10代だった頃の同級生たちと何ら変わらなくて、そこにしみじみと感じるものがあった。

もうひとつ印象的だったシーン。
青い服の男性が暮らしを「牢獄のようだが、牢獄の方がマシかもしれない」と厳しい生活を語っていて、これを聞いてカメラに納める心中……と思いながら見ていた。
黙ってカメラを見つめる険しい顔の男たち……一時華やかな民族衣装の人たちの写真集が流行って何冊も出されていたけど、それが還元される事はあったのか………とか考えてしまった。
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