耶馬英彦

ファルコン・レイクの耶馬英彦のレビュー・感想・評価

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)
3.5
 しばらくは少女マンガみたいな印象だった。平凡で坦々としたストーリーだが、そこはかとなく青春の機微がある。そんな感じで鑑賞していたのだが、ラスト近くで若者たちが対岸に向けて泳ぎだすあたりから急に雲行きが怪しくなる。
 タイトルの「ファルコン・レイク」を何故か「ファントム・レイク」と間違って憶えてしまっていたのだが、はからずも間違いのタイトルの方が物語の真実に近かったのは、我ながら驚きだった。

 水死した若者の言い伝えがある湖。クロエの口からでまかせなのだが、幽霊のコスチュームを着て写真に映るバスティアンが妙に似合う。そのあたりが伏線だ。言い伝えはクロエの予言だったのだ。バスティアンが素直で性格のいい少年だったので、逆に言いしれぬ恐ろしさを感じる。
 ラストシーンをどのように捉えるかで本作品の評価も変わりそうだが、当方の解釈が間違っていなければ、ホラー映画のジャンルに入れていいと思う。それなりに面白かった。
耶馬英彦

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