やったカニ

ファルコン・レイクのやったカニのレビュー・感想・評価

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)
3.5
クロエと一緒にいることで大人になりたいバスティアン。
バスティアンと一緒にいることで子供のままでいたいクロエ。
二人は絶妙なバランスで均衡が保たれており、お互いの穴を埋めあうような存在。どちらか一方が性愛、恋愛の対象になったら崩れてしまう関係性。
「独りぼっち」が一番怖いと言うクロエは、バスティアンに嘘をつかれたことで本当に孤独になるんだな。

湖(水)が恐怖の対象として描かれるうえ、大人と子供の境界を表している。舞台となるファルコン・レイクは、”単に美しい湖”だけでは不十分で、不穏さや恐れを演出する装置として映画に落とし込まなければいけない。16mmフィルムで撮影して、夏なのに夜や寒色のシーンが多いのもそう。
これらの演出や、クロエの言葉の端々に感じられる死の匂いは、すべてラストにつながっている。
バスティアンが湖を泳ぐシーン、良かったな。
やったカニ

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