ラストはいい意味で裏切られた感じがしました。斜め上をいく切なさに余韻から抜けられない...
カナダの湖畔でバカンスを過ごした、14歳になる少年バスティアンと16歳の少女クロエの、どうやったって忘れることの出来ない夏休みが描かれる。
甘酸っぱいひと夏の体験物語ではあるのだけれど、それだけで終わらない。こんなの観たことない...このテイスト好きかも。
美しく切ないホラーのような、霊気漂う思春期映画だった。
バスティアンを子ども扱いするような、それでいて異性として意識させるような...すこし年上のクロエの言動にドキドキ。
そして戸惑いながら恋心を抱き始めたバスティアンが、背伸びしてゆく様子がとても切ない。
二人の言葉の奥に隠されてる感情が手に取るように心に伝わってくる。
まだ大人ではなくて、けど子供でもない、あの移ろう時間にしか得ることが出来ない、少年少女の揺れる心、危うさが繊細に描かれていました。
特徴的なのは、ずっと不穏な空気が立ち込めていること。美しく煌めく湖面の底には何かが潜んでいそうな気配に満ちている...なんだか少年にとっての少女みたいだったな。
思春期のモヤモヤ感を不吉なモチーフを加えて描く演出が巧みでした。