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ブロンドのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ブロンド(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

マリリン・モンローの生涯を描いた、フィクション映画。

マリリン・モンローの幼少期から最期までを描いた伝記映画なのだけど、特徴的なのは彼女の輝かしい部分ではなく、徹底して負の部分を描いている事。
幼少期の虐待から始まり、その後もレイプされたり、中絶(流産)したり、薬に溺れたり…。
とにかくまぁ、気が滅入る様な描写が3時間近くも続くので、マリリンのキラキラした映画を期待してた人は肩透かしを食らう事でしょう。

映画作品なので、その人のどこに注目するのは監督の勝手だとは思いますが、見終わった後に、その人の印象がプラスに変わっている事が伝記映画を作る上での最低限のマナーだと、個人的には思うんですよね。
そういう意味で、本作はマリリンが男と映画業界に利用され、搾取され続ける…不憫で可哀想な女性としてしか描かれないのは、死者への冒涜と批判されても仕方ない気がします。

また更に酷いのは、事実とは異なる…創作の要素が多分に入っている事。
気になる人は調べて欲しいのですが、事実とは異なる描写があったり、逆に事実が省かれていたりと、かなり創作の要素が強い。
これをフィクションと分かった上で見るのなら良いのですが、本作は本格的な伝記映画の装いをしているので、マリリンを知らない世代がこれを事実として受け止めてしまう可能性もあるでしょう。

この映画を見る限り、マリリンは頭も心も弱く、性的に消費されていくだけの脆い女性にしか見えませんが、実際はそうではないわけですよね。
アクターズ・スタジオで学ぶほど、演技には情熱を持っていたし、女優という仕事には喜びや誇りもあったはずなのに、そうした部分は描かれない。
マリリンのキラキラした部分を描いて、その中に闇の部分もありました…というバランスなら、まだ良かったと思うのですが…。

問題作というか、酷評されるのも頷ける作品でしたが、唯一希望があるとすれば、アナ・デ・アルマスの熱演。
彼女もまたマリリンと同様に、セックスアイコンとして見られる事が多い女優だったと思いますが、本作の演技で一皮向けたはず。
本作をキッカケに、彼女のキャリアが更に向上する事を願っています。
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