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VESPER/ヴェスパーのhi1oakiのレビュー・感想・評価

VESPER/ヴェスパー(2022年製作の映画)
2.9
予告編を観て“あーこういうのはちょっともういいかなぁ…”と思った人も多いのでは?
結論から言うと確かにその直感は正しいかもしれない。
予告編以上にグロテスクで鬱だったりはして、作り込まれている部分はよくできているんだけど、いかんせん広げた風呂敷(生態系が崩壊した地球)の割に見せてくれる部分が狭く、地味さは否めない。
これはまぁ予算の問題もあるんだろうけど、同じくポストアポカリプスの選民的分断を描いたブロムカンプの『エリジウム』では描かれていた富裕層側の世界(今作では“シタデル”)を垣間見れない事による奥行き感の欠如でしょう。
細かい設定や世界観をあまり説明はしないけど、作品内でほのめかされている設定や世界観をうまく使い切っていなくもある。
“そこを脳内で補完する低予算SFでしょう”と言われればそうかもしれないけど、作品内で見せてくるCG等のレベルは高く巧いので、それをもう少しストーリーテリングと絡めてうまく使えていれば、ブロックバスターSFとは違った魅力も出せたのかと思う。

親父ドローンもそうだけど劇中で突然出てくる有機タブレットみたいなやつとか、カタストロフィ後のテクノロジーとしては“貧民街の民が容易に使えるモノなの??”という疑念がノイズになってしまう。
人造人間ももっと掘り下げてほしかったし、そもそも空飛んでるやつとかマングローブみたいな巨大建造物とかアレはなんなの?っていうボンヤリ具合だし。
面白そうなモノをいろいろ見せてくる割に結構投げっぱなしなのが残念。
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