コカ子

スマイルのコカ子のネタバレレビュー・内容・結末

スマイル(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ビックリ系ホラー映画といったところ。
猫が死ぬので注意。

ショック療法の危険性とセカンド・オピニオンの重要性、精神病患者への世間の認識は想像よりずっと辛いものであると言うことがわかった。

ビビらせホラーが好きな人は好きだろう。

作品テーマとしては「トラウマ」が考えられる。というかここまで全体を通してアピールしておいてこれ以外のテーマがあれば驚きだ。

当然主人公の目線で話は進むし我々もその視点で物語を理解して行くので、ある意味では終盤でのどんでん返しでもあるかも知れない。

伝播する呪いや悪霊タイプのオカルト映画、と取ることは簡単である。
実際そうなのだが、見終わってしまった今となってはこの映画は全くそんな話ではなく、精神疾患、及び心と向き合う映画(それも恐らく統合失調症である)だとしか考えられない。

主人公は初めから既に心にひとつ大きなトラウマを抱えていて、それが原因で心を病んでいた。そして恐らくトラウマを抱えると同時に統合失調症(或いは躁鬱病)を再発していたものとみられる。

(※病の断言はするべきではないが、「リスパダール」の催促をしていた点、主人公の婚約者からの発言で母親が精神病を患っていた為遺伝した可能性があるという点から統失か躁鬱の可能性が高いと判断)

散々主人公と私を驚かせて来た笑顔の正体は、悪いが、全然悪霊なんかではなく本当に病の幻覚と妄想だったのだと思う。
実際映画を抜きにして精神病のことを考えた時、幻覚を見ている本人からしてみればそれは本当に見えているから現実で、そこに1つも嘘はない。

これらが分かったのは映画が終盤に差し掛かってからのことであるので、そこまではしっかりホラー映画として観ることができる。

終盤戦の映像描写として込められたメッセージを考えるとするなら、トラウマと向き合う事の難しさ、それから心の病気のコントロールは想像よりずっと難しいという事の示唆では無いだろうか。

笑顔の悪霊はトラウマという概念そのものだろう。主人公は既に母親の死がきっかけで軽い精神病を患っていたようだが、それを抑え込みカウンセラーとして働いていた。
この母親の死というのがまずひとつのトラウマになっているだろう。

心に既に巣食うトラウマがあったので、患者の死と言葉をきっかけにトリガーが引かれ、そして新たなトラウマも積み重なった。

主人公がやたらやる気になって解明した過去の事件との関連性によると、自殺を回避するには人を殺す必要があって、それは「なるべく酷いやり方で」と作中では話される。

これは恐らくショック療法のようなものかもしれない。
自分が見た酷い事件は、自分の手でより酷いものを生み出せるという恐怖への理解と精神力の限界突破、そしてショックで上手いこと正気に戻れるというようなものだろう。

まぁ結局失敗に終わったようなので、現実でも精神病に罹ったらショック療法なんて無茶はしないことである。

信頼する医者出会っても、人1人を信用しない事が重要だ。
コカ子

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