ちこちゃん

エゴイストのちこちゃんのレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
4.0
「愛がなんだかわからないんです」

鈴木亮平さん演ずる浩輔が、恋人である宮沢氷魚演ずる龍太のお母さんである阿川佐和子さん演ずる妙子に言う言葉です。

ゲイである浩輔が、自分のゲイとしてのアイデンティティを守るため、ルイヴィトンなどのブランドを鎧のように着ていましたが、金銭に困っており、ゲイだあることを売りながらも透明で真っ直ぐな龍太と出会い、愛するようになってから、自分自身のゲイとしての存在を赦していけるようになります。それは、浩輔の洋服がブランド品からTシャツに変わっていくことでも知ることができます。

「エゴイスト」というのは、自分が表したい愛情を自分が表すことができる形で示すことであり、それが相手にどのように受け取られるのか、という視点があまりないものです。だからこそ自分のための愛情表現と言えるでしょう。ただ、浩輔の龍太に対する愛情が、龍太の母親にも向けられ、それは自分が自身の母に愛情を表せなかったことと相まって、お金を渡すという自分なりの形でしか表せない浩輔に対し、龍太の母は「私たちが受け取ったものが愛だと思っているから」と答えることで、浩輔は救われたのだと思います。
相手をあるがままに許容することが愛なのかもしれません。

LGBTQが前面に出ている映画と思われるかもしれませんが、親兄弟への愛、パートナーへの愛、子供への愛など全ての愛において、愛することとはどういうことなのか、ということを考えさせてくれる映画だと思います

鈴木亮平さんの演者としての技量が遺憾無く発揮されている映画であり、宮沢氷魚さんが持つピュア感が役にはまっていて、素晴らしい映画であり、観客が全く違和感なく映画に入っていけます
愛することがテーマですが、LGBTQのような個人の性的嗜好が多様であることを映画で描けるようになったこと自体、少し日本も個人の多様性に寛容になったことを示すものであれば良いなと願っています

愛の表現も多様だと思います
あなたの愛情表現は自分のためではないのでしょうか、
考えさせられます
ちこちゃん

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