2035

エゴイストの2035のレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
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カメラワークと言えばいいのか、焦点の揺れ動くさまが美しかった。一見 堅牢なように見える主人公にそぐわない不安定なそれが、出すまいとしている彼の鎧の中身を表現しているように思えた。

セクシュアルマイノリティを中心的に扱う作品の傾向で、邦画は 恋愛事(かつほとんどが悲恋)にフォーカスされやすく、洋画は 社会問題や歴史を背負ったかたちで描かれることが多い印象があるが、
この作品では、それを主要なテーマとしながらも、人物を捉えようとしたときの そのいち要素としてマイノリティであることが出てくるような描き方をしているため、登場人物たちにリアリティがあり、作品が現実的な問題を真摯に届けようとしていると感じられた。

段階を分けて、様々な角度から、何度も刷り込むように「叶わない」と思い知らされること。これらを悲しく美しいフィクションに留めていたくはないとあらためて思う。
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