2035

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいの2035のレビュー・感想・評価

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やわらかく優しいだけの話は苦手なため鑑賞をを躊躇していたが、結果そのようなことはなかった。
戸惑ったり、逃げたり、向き合ったり向き合わなかったりしながらも、各々が自分のペースで内外の問題と接している。

作品内では具体的な用語や 直接的な事例はあえて用いていないようで、そのさり気ない距離感から、すべてと真っ向から対決しなくてもいいという作品の姿勢を感じることができた。ぬいぐるみを通すことで、相対と内観のあわいのような距離をつくれるのだと思う。

時折つまづくような 気の抜けた音の劇伴が流れたり、うしろからやわらかい手が耳を塞ぐような 現実から一歩ひいた目線になる演出も、それを補強しているようだった。
全員がこうあればいい、ではなく、異なる選択をする者が中心人物のなかにいるのもよい。
勧めたい者が思い浮かぶ映画だった。

夜道のY字路を進めず佇むシーンがいちばん印象に残っている。
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