瀬口航平

映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)の瀬口航平のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

何回か泣いてしまった。。
個人的にかなり好きなドラえもんでした。

今回はのび太の特異性がかなり現れた話だったように感じた。
それは彼が作中最も自分自身を確立している存在だということだと思う。

みんな3賢人の洗脳にかかり、自分を見失うのに、のび太だけは洗脳にかからない。口では3賢人の言うことは正しい、完璧になりたいと言うものの、実際には彼は何も変わらない。

改めてよくよくのび太を見てみると、かなりの楽観的人物だな、と思わされる。
そもそも、0点なんてなかなか取れるものじゃない。。10点15点もある、と今作で彼は弁明してるけど、やっぱり0点もある。。じゃあ彼は本当に何もかも人並み以下の人間なのかといったら、そうではない。射撃やあやとりの腕は一流。射撃に関しては、緊張感のあるシーンばかりのはずなのに、そのプレッシャーに負けることなく、毎回周囲の期待に応えてる。
要するに、本当に興味のあることに関しては誰よりも特異な才能を発揮している。そしてここまで0点を取ってしまう、ここまで勉強ができないのもある意味才能な気がする。。本当にわからないし、本当にできないんだと思うけど、やりたくないこと、興味のないことに関しての能力が著しく低い。
世間的には勉強できないと怒られたりするから、その都度泣いたり悩んだりしても、一度寝たらけろっとしてしまう。不眠症とも無縁だしね。。運動神経の悪さに関しても、野球うまくなりたいとか思ってるかもだけど、これだって怪しい。彼の得意な射撃やあやとりのことを考えると、あまり体力を使わないもののほうが彼は興味関心が強い。寝るのも好きだし。だから実はそんなに野球とか運動とかできるようになりたいと思ってないんだと思う。
世間の言うこと、勉強しなさい、ちゃんとしなさい、などなどという要求にここまで応えられない人間だからこそ、(だからこそ大変なこともあるんだろうけど)3賢人の洗脳にかからなかったんだと思う。

ストーリー全体も、クレヨンしんちゃんのてんかす学園みたいな話だから、俺の好みでした。ちょっとかぶりすぎかな、とか思わなくもなかったけど。
ドラえもんの、完璧じゃなくていい、これが僕だからだ!とか良かったし、スネ夫やジャイアン、しずかちゃんが自分の性質を認めていくところとかも泣いた。
というか、その前ののび太が彼らのことを一人一人認めていくところから泣いた。ここは完全にてんかす学園ですね。

てんかす学園は、しんちゃんと風間くんのキャラクターの違いをとてもよく活かしていたけど、ドラえもんはのび太の特異性をとてもよく活かしていたように思いました。クレヨンしんちゃんほどはうまくはないけど、ドラえもんでもやれるんだな、と思いました。ただドラえもんは、クレヨンしんちゃんにはないファンタジー要素を入れてくれてて、(ここはドラえもんの強みかも)それがすごく良かった!非常に夢のある話から始まってたから、序盤とてもワクワクした!!ここはてんかす学園にはなかった要素かも。
最後の伏線回収もコンフィデンスマンの脚本家である古沢さんの特徴がよく現れてて、良い味付けでした。
瀬口航平

瀬口航平