みむさん

The Integrity of Joseph Chambers(原題)のみむさんのレビュー・感想・評価

3.8
トライベッカ映画祭にて。

去年のヨーテボリ映画祭で観た「The Killing of Two Lovers」が印象に残っているロバートマショアン監督 x クレイン・クロフォード主演。
今回もまた印象に残ったのでこのコンビの作品は気にしておこうと思った次第。

ほぼ(体感7割くらい)クレイン・クロフォード一人芝居、必然的に台詞少ないが全編通してサウンドデザインが雄弁。
序盤こそこの不気味な音響はなんなんだと思っていたが、クレインが演じるジョーの不安と未熟なメンタルと彼の行く末を暗示しているように聞こえてくる。時折空想でステージに立ったりスタジアムのマウンドに立ったりするシーンに呼応する箇所もあったが、ほぼ不気味な音が続く。

今作では都会から離れ山や自然に囲まれた家で家族を養い父親として男性としての姿を高めていこうとする男の姿。これも古い男性像に囚われた者の姿だなあ。

元々セールスマンで1人で狩猟をしたこともないのに、友人に狩りに同行してもらえるまで待てず、妻にも「家族を養い護る男」を見せたいがために1人で山に狩猟へ向かう。そんな彼の長い1日を描く。

案の定グダグダで鹿は逃すわ、発砲が思わぬことに繋がる。どのツラさげて帰宅したらいいのかプライドは崩壊、過ち・隠蔽・正当化・贖罪でグラグラに揺れ迷い混乱、ジョーは一体どうするのか。

シンプルながら見入ってしまうドラマ。流れ的には1日の経過を追っているだけだが、余白多めで想像力を掻き立てられる。

ジョーの姿をひたすら目にして心情を察して…。完全にジョー目線になってしまい凹むなぁ。

ジェフリー・ディーン・モーガンは終盤に登場。