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あの娘は知らないの8637のレビュー・感想・評価

あの娘は知らない(2022年製作の映画)
3.3
何もかも説明されつくした映画かと思いきや、二人の会話からここにいない人のことを観客それぞれが想像することになるし、タイトルと照らし合わせて考えると不可解な余韻が残る。そんな見せ方もする...?という一面も含んでいる。
主役二人の繊細さに特化して、物語は一般的なまま終わってしまった感があった。

日中は風景美と二人の明るい表情、夜はネオンと呼応した二人の闇を映す。
中川龍太郎監督もそうだが、風呂のシーンを色気と捉えずに撮れるってやはり素敵だと思う。
それの良さもあって、主人公二人がどんどん踏み込んだ関係性に陥っていくのがあまり好ましくなかったような...終始敬語で会話が繰り広げられていればまた面白いだろうなと思ったり。

やはり岡山天音は彼にしか出せない味を持ってるよなぁ...もういない彼女への想いに渋りながらも若者らしくヘラヘラと笑っていられる様子が、彼を超える奈々の深い喪失感を上手く覆い隠していた。そして福地桃子はそれこそ繊細の塊だったような。短く断片的に登場する人々も豪華で映像の見応えが凄かった。終わりかけの夏夜に観れて良かった。
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