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アートなんかいらない! Session1 惰性の王国のarchのレビュー・感想・評価

2.6
ようこそ、堕落の王国へ。

アート不感症を自称する山岡信貴が色々な入射角度でアートについて再考するドキュメンタリーで、様々なアートや時代を題材に進んでいく。
結局アートは必要なのか、みたいな部分に対しては踏み込まず(Session2に期待)、多角的に探る感じでアートの日本の現状を詳らかにしていく。
正直自分には理解しきれない部分がたくさんあり、情報の羅列に苦しいものがあった。その上で最後には「堕落の王国」の民にされてしまう結末はちょっとムカついた。

ただ一方でドイツの戦後最初に復興したのが劇場だったりした事や難民への受け入れの話、また「表現の不自由展」などから分かる日本の外国との違いの話は面白い。他にもアートの難しさな纏わる例がいくつも挙げられ、デュポンの「泉」の話は面白い。

アートが高尚とされるせいで、齟齬が生まれ、無力なものになってしまう。アートはもっと生活に不可欠なライフラインであるはずだ。それが例え「嘘」だとしても人には欠かせない「嘘」なのだ。

この映画が優れているとは思わない。ただその問題に意識を向けさせるだけの力はある。
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