秀ポン

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらないの秀ポンのレビュー・感想・評価

3.5
テンポが良くて面白かった。
あと、基本設定について2段階で凄いなと思った。

1.
ループものって思春期の(何をしたって無意味なんじゃ?っていう)無力感や未来への不安と結びづけられがちだけど、社会人の無限に続く仕事をループに落とし込むのはありそうで無かったなと思った。すごい。

2.
主人公は上昇志向が強く、なりたい未来像が明確にある。ループものの主人公は未来に対してどっちつかずの態度である必要があるので、これはループものの主人公としては不適格だ。
しかしこの映画は、ループの主役を主人公ではなく部長に任せることでこの問題を解決して、これまでにないタイプの主人公を立てながらもループものとして成り立つようにした。すごい。


同僚にループを認識させて、仲間を増やしていく過程に「ようこそ、おまけの時間に」と同系統のワクワクを感じた。
部長以外の全員がループを認識している上で、途中で利益相反の状態に陥るのも結構面白かった。
主人公にとってループを抜けることが不利益になってしまうのは面白い。
だけど、主人公の不利益(行きたかった会社に行けなくなる)と周囲の不利益(ループが一周延びる)が釣り合っているとは思えなかった。
これはループものならではの問題で、ループを重ねるごとに一周の価値は希釈されていき、何らかの工夫をしないと"今このループ"を抜ける強い動機は生まれなくなる。

──その他、細かな感想。

主人公が良かった。ダウナーに見えて意外とノリが良い、というよりは目標に向かって邁進する馬力がある。
すり減らしながら生きてる感があるけど、全体のテンポ感だったり面白要素だったりで、見てても辛くならない。

部長へのループプレゼンが面白かった。

ループものの代表としてハッピーデスデイ、オールユーニードイズキルが出て来ていた。実写の洋画から引用するとそうなるのかと思った。時かけ、まどマギ(あとシュタゲ?)と、アニメのイメージだった。
ループの主役が主人公とズレているのはエンドレスエイトもそうか。だとすると、ループの主役が抱えるべきなのは未来に対するどっちつかずの態度の他に、心残りってのもあるわけだ。

82分だと知って余計に好きになった。
秀ポン

秀ポン