キャサリン

スピリッツ・オブ・ジ・エアのキャサリンのレビュー・感想・評価

3.7
ポスト・アポカリプス的荒野に訪れる救いについて。

乾燥し尽くして赤茶けた大地と、宇宙を思わせすほどに深さを感じる空の青さが強烈に焼きつく映画。
バクダッドカフェ的なストーリーを想像していたけれど(多分ポスターのせい)、コンセプチュアルを煮詰めに煮詰めた結果、リアリティは蒸発し、芸術だけが残ったような。
なにこれ、神秘性が強すぎる…

空を飛ぶことを純粋に夢見る挑戦の兄と、父の墓を守り父の教えに敬虔に従って暮らす保守の妹。
終末世界であるとすると、絶望の淵から挑戦したくなる兄にも納得だし、この地獄からの救済を求める妹にも納得。
そんな彼らを否定せず、静かに寄り添う逃亡者スミスは、まさに新時代のキリストを表しているように感じた。

広大なのに閉塞感のある生活。
愚かさの象徴か守りの女神か、ピエロみたいな気狂い妹。
青い空白い雲ペイントの兄の部屋から、妹に負けないほどの狂気を感じたり。
スミスは山を越えられたのだろうか、越えた先に何があるのだろうか。
追いかけてきた3人は何者だろうか。
かなり好きなタイプの映画でした。
キャサリン

キャサリン