静かな、ゆったりとした、やや暗いとも言える映画。
音楽も台詞も少ない。
エキストラ俳優とロープウェイの管理者の兼業で生計を立てている宮松。実は宮松は、12年前から記憶喪失である。
しかし、宮松の前に、宮松が12年前まで山下という名のタクシー運転手だったと言う男が現れる。
妹とその夫が暮らす実家で過ごす宮松。その何日かの生活の中で、記憶を取り戻すのだが、その瞬間の描き方がさり気なく(わかりにくいとも言えるが)素晴らしい。
俳優たちの微かな表情や声の演技で、それを伝えている。
映画のワンシーンなのか、現実の出来事なのか、一瞬わからなくなる場面にもハッとさせられた。