レオピン

拳銃は俺のパスポートのレオピンのレビュー・感想・評価

拳銃は俺のパスポート(1967年製作の映画)
4.6
野村監督のいつもの抒情をおさえた都会的で寡黙なタッチ。あのドライブスルー方式の金の受け渡しには笑ってしまった。トリは長谷部安春のガンアクション

そんな中紅一点の小林千登勢(おっかさん) 思いを寄せる高木均(ムーミンパパ) 被差別民のダルマ船の人びと ジェリー藤尾の慟哭 とポイントは外さなかった。

あのラストシークエンスに胸の高鳴りがまだ収まらない。迫りつつある死の足音の中で思わずハエに笑みをこぼす。同じくプロフェッショナルを描いた『レオン』(原題 『The Professional』)は植木鉢に思いを託したが、この男はハエに生を見出す。

俺のは逃げるんじゃねえ 生きるんだ 昔からそうやってずっと生きてきた

出てくる男たちが段階ごとに渋さを増す。空港で張っていた組織の男から始まり、
千崎役の江角英明 
殺し屋の草薙幸二郎 『ブリット』ふうのカーチェイス
組織の二代目で杉様 若い
そして極めつけはサイレンサー銃の男、三好役の宮部昭夫(マックイーン吹替)

皆さん胸にチーフのスーツスタイルで、いい靴履いてらっしゃる。ギャングスターが時代の先端かつファッショニスタ。あの防弾仕様のメルセデスだって当時の貴重な最新車種なのだ。
 
日活映画でおなじみのキャバレーとかバーといった綺羅びやかな世界は一切出てこない。砂漠のように乾ききった世界にほんの少しの抒情味。このバランス。こんな和製マカロニの傑作が、脚本4日撮影20日で出来たなど一体誰が信じますかって。

脚本:山田信夫、永原秀一
音楽:伊部晴美
レオピン

レオピン