先日の『X』に引き続き、前日譚にあたる本作を鑑賞しました。
タイトルにある『パール』は前回のおばあちゃんのことですね。舞台は1918年ということで、パールばあちゃんの若かりし頃の話です。
また驚きだったのが、前作マキシーンを演じたのがミア・ゴスという女優さんだったわけですが、今作のパールはもちろん、前作のパールばあちゃんもミア・ゴスだったということで、彼女の演技力に関してはこのシリーズでしか知りませんが素晴らしい女優さんだと思いました。
ネタバレ含んでレビューしますね。
まず冒頭からよかったですね。パールの純粋さと同時に狂気さも表しており、ワニのセダと共にタイトルドーン!は二十世紀のホラー感が漂っていて好きでしたね。
パールの背景としてわかってきたことは、母親からの抑圧、そして父親の介護。そういった自由のない毎日の中で純粋にダンサーとして華々しくスターになりたい、という夢を抱いていること。
彼女の天真爛漫な様にはやはり境遇に同情せずにはいられないわけですが、同時に彼女の持ちあわせる狂気さ。これはもう環境的なものじゃなくて、ナチュラルボーン的なものでしょうね。
だって不安になりこそするものの、スターになるのは夢ではなくて確信してますからね。どう考えてもズレがありますし、個人的にはそっちの方が引っかかっちゃって、パールの痛々しさの方が際立って見えてしまいました。
実際かかしのシーンとかやばいですもんね。社交ダンスからのゴリゴリのチューからの激昂からの腰振り。もう何が何やら。とにかく狂気でした。
そしてやばさが確信に変わっていくのが、パールの母親の見方が終盤にガラッと変わってくるシーンですね。まあここからはまさにパール劇場なわけですが、母親が真っ当だと、抑圧もされていたが抑制にもなっていたんだと、それに気づいてからのパールの圧巻のショータイム。ストッパーが外れてからはもう止まりませんでしたね。
クライマックスのダンスセレクションでの感情爆発。また、そこからの自白長回しでの淡々と、且つ徐々に溢れだす感情。この辺りのシーンに関してはミア・ゴスの圧倒的な演技力なしには成り立たなかったでしょうし、まさに独壇場の名シーンでした。
ただ、それ以上に絶句したのは、ラストの笑顔の長回しなんですけどね(笑)というよりもよくあのパールと生活できたな、とも思いましたね。ハワードの心境と生き抜いた術が気になります笑
まあ何にしても続編『マキシーン』が楽しみになってきました。今度こそは劇場鑑賞したいなー。