CucumPrincess

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいのCucumPrincessのレビュー・感想・評価

4.1
しばらく立ち直れそうにない。どうやったって他人のことを分かってあげることはできないし、自分のことを分かってもらうことはできない。優しさなんてまやかしでしかないのに、この世界に生きる人はみんな大丈夫じゃない。

「大丈夫?って聞かれたら、そりゃ大丈夫って答えますよね。」
私も大丈夫ではないことが多い。(麦戸の世の中や自分への絶望の仕方にかなり似たものを感じた。)素通りできないくせに、解決することもできない。優しくない、優しくない、優しくない......結局アンタは自分のことしか考えていないじゃないか!自分の性格の悪さは底なしの暗い沼に私を引き摺り込もうとすることがある。そうなった日にはもう、人として機能しない。
「大丈夫じゃ、ないですよね?」
こう聞くことが、今できる私の最大の優しさである。全然優しくなんかないかもしれない、でもこれが私の限界である。

悩んでいるなら話して欲しいと思う。そしてぬいぐるみたちのように話したいと思われる存在になりたいとも思う。何より、大丈夫じゃないことにちゃんと気付ける人でありたい。

人の優しさを突き返してしまう時がある。放っておいてよ!状態の時だ。本当は放っておいて欲しくなんかないけれど、自分の心を整理しないと悲惨なほどに誰かを傷つけてしまいそうな気がする。
逆に、突き返される時もある。私は「自己防衛」のためにそれ以上その人に近付かないようにしてしまう。でも、それではいけないのではないだろうか。自分がその状態の時も、麦戸が部屋に籠った時も、しつこいくらいに心配をしてくれる人がいた。それこそが本当の優しさなのかもしれないと思う。

大丈夫じゃないと言うことがセーフな世の中でありますように。そして大丈夫じゃない人を気にかける人がい続けますように。
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