村山

熊は、いない/ノー・ベアーズの村山のレビュー・感想・評価

-
イランの報道の自由度ランキングを調べたら最下位の北朝鮮、中国、ベトナムに次ぐ177位だそうだ。世の不条理を問うのはドキュメンタリー映画の根幹だけど、国家からこれほどの不自由さを強いられれば閉塞感にがんじがらめになって「映画ではこの国は変わらない」と諦めの境地にも至るだろう。
それでもパナヒ監督は諦めない。フィクションとの境目を曖昧にしながら、超えられない壁の存在を突きつけている。タイトルがすばらしい。熊は現実にはいないんだ。でも国家は熊がいることにできる。その気になれば、僕らのそばにも熊は現れる。
村山

村山