深獣九

ボーンズ アンド オールの深獣九のレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
3.0
あなたを食べる。あなたと生きる。

この作品がホラーなのか、青春恋物語なのか、スリラーなのか、少数弱者を描く社会派なのか、自分の中でうまく消化できていない。
考えるな感じろ! とのご意見ごもっとも。数奇な運命を負った若い男女の逃避行・ザ・ロードムービーでいいじゃん、もわかる。

食人の衝動に抗うマレン。運命を受け入れ欲望のまま生きるリー。出会ったふたりがお互いを変えてゆく。だが、運命は苛酷だった……。

そういう風に受け止めよう。
ならばふたりの道ゆきはとても美しかったし、長回しや風景描写、ハンディカメラブレなど、カメラワークも秀逸だった。

美しい物語を紡ぐためには、試練が必要不可欠だ。そこを容赦なく描いたところは、この作品の価値と言えよう。
主人公、特にリーを演じたティモシー・シャラメの陽炎のような儚さは、物語の本質のひとつを表しており、はまり役である。

ゴア描写はほとんどないが、それを楽しむ映画ではないと、事前に知っておいたほうがいいだろう。サイコはいい味出していたが。

一人称が己の姓名なやつはだいたいナルシスト。
本日知った定説を覚えておきたまえ。余談だがね。

ちょっと変わったラブストーリーに興味のある方はぜひ。
深獣九

深獣九