ヤマギワ

ボーンズ アンド オールのヤマギワのネタバレレビュー・内容・結末

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2023年14本目(劇場11本目)

映画を観る醍醐味の一つは、撮影・編集・劇伴が完全にキマッてる瞬間を観ることなんだけど、この映画は全編にそれが詰まっていた。ホラー、ロマンスどちらの要素においても抜群の演出ができるルカ・グァダニーノとかなり食い合わせの良い原作だと思う。
カニバリズムと少女漫画チックな逃避行のバランスが絶妙で、食人の描写が非人道的であればあるほど、刹那的な2人の旅の尊さが浮き彫りになる。

とはいえ、彼女たちの結末に切なさは感じても、悲しみも共感も感動もなかった。そうとしか生きられないにしても、奪う側に回ってしまったら、奪われることもあるわけで、揺るがない自然の摂理を見せつけられた。メタファーではあるんだろうけど、カニバリズムは過激というか、絶対に許されない行動の極致だから、ラストは収まるとこに収まってしまったというやるせなさと、納得感が強かった。

自分に寄せて思うことは、人間どうしたってルッキズムな面は持ってるよねってこと。ティモシーシャラメとマークライランスの対比があまりに露骨で、どんなに希少な共通点があっても、年老いた白ブリーフおじさんはNGだけど、赤毛ティモシーなら愛せる。
もちろん2人は最終的に食人を超えた先で理解し合えたわけだけど、理解の入口には外見が大事だよねって、これもまた自然の摂理が垣間見えた気がした。
それにしてもマークライランスが良い意味でキモすぎた。演技もそうだけど、一方的な気持ちの押し付けってキモ切ない、アラサー男性として気をつけたい。
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