アマプラ無料ラインナップに来たので勇んで見たら半分ぐらいワカンダ王国の話で、ええと、その地を離れてもいつだって自分の故郷は変わらない、いま住んでいるのが別の国でも自分は生涯ワカンダ・フォーエバーだから。と登場人物が言っていて(=言ってない)あとの半分がジンバブエでした。
なおジンバブエ、ローデシアから名前が変わった1980年に新聞を読んで「へえ、まだ“新しい国”って出来るものなんだ」と思った十代前半少年だった時の記憶が鮮明で、それはソビエト連邦が消滅したり(1991)スワジランドがエスワティニに名前を変えたり(2018)、国家という概念が万古不易のものじゃないんだ、とその後何度となく立ち会うことになる第1弾経験として、個人的な感慨がある。
経済的理由で難民申請をする者はすべからく「本当の難民」ではない「偽物」なので強制送還が妥当。てな既成概念を信じる人たちには金輪際、物語が供給する感動を受け入れられないはずの実話。
心の自由を狭めていくことがいかに滑稽か、でもそれ認めたらショックで死んじゃうんでしょう。本作のように思わぬ形で「あんたのその考え方、ほんとうに合ってるかね」って聞かれることはこれからもあると思うけど、だいじょぶそ? って自分とは最も遠いところに居る人たちのことを(ちょっとだけ)想像しました。