にく

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥのにくのレビュー・感想・評価

2.5
T・フィリップス『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(24)。Qアノンみたいな連中がジョーカーに感化されて暴徒化しない様に冷や水を浴びせた訳か。このつまらないコメディアンは、カリスマどころか精神異常者ですらない、ただの頭の悪いおじさんでした。ってそれは『ジョーカー』じゃなくて『おじさん』。
 ミュージカル要素強めの『カッコーの巣の上で』リンチ風味。IMAXカメラで撮影したというのでグランドシネマ・サンシャインで見たが、例の階段のショット(唯一の縦の構図)以外は必要性を感じず。顔のクロースアップが「表面」性を切り取っていた訳でもなし。安手の精神分析学に再び狂気が敗北した夜。
 面白かったとすれば、これが『バットマン vs スーパーマン』のネガになっていた所だ。A・ランドの主張にそれこそ感化されて、議会で「超人」に自己弁護させ(世界の支配を託そうとし)たZ・スナイダー。ジョーカーを、裁判で自己弁護に失敗するただの中年男にしたフィリップス。結末は同じで表裏は一体。
 だから、スナイダー版スーパーマンのレックス・ルーサーの方が、よほどジョーカーっぽかったんだよね。
 前作で、あの「狂気のダンス」を許容し、「ジョーカー」を神格化すると同時にJ・フェニックスにアカデミー賞(上昇)をもたらしもした「階段」は、今作では彼の「転落」を象徴するトポスとなる(ガガとのダンスも禁じられる)。しかし、IMAXカメラによる映像は極めて凡庸で「不吉」さが全く感じられない。
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