いち麦

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥのいち麦のレビュー・感想・評価

4.0
“ジョーカー”として狂気を表出した姿はアーサー・フレックの虚像か、全くの別人格か。終盤の山場できちんと決着をつけて“ジョーカー“を終わらせている。スッキリした。
周囲から求められるままに変貌する自分、恋愛への希望と絶望。底層に流れるテーマは普遍的なもので、見る者が自分にも置き換えて捉えやすかったと思う。ただ、展開がどうしても一直線で単調に感じられた。
アーサーの膝を折って笑い続ける姿は独特の哀愁を帯びていて、ホアキン・フェニックスの演技は見事。レディ・ガガも歌唱場面では力の入らない歌い方なのにしっかり心に沁み込む歌声で好感。
フレッド・アステア主演の大好きな「バンドワゴン」引用や使用楽曲の多くが馴染みの好きなものだったのも嬉しかった。

副題「Folie a Deux」はフランス語で「2人の狂気」「2人狂い(妄想の伝播と共有) 」の意味とのこと。

字幕翻訳はアンぜたかし氏。
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