ちこちゃん

ちひろさんのちこちゃんのレビュー・感想・評価

ちひろさん(2023年製作の映画)
4.5
原作がありますが、読んでいないので、どれぐらいこの脚本が原作と離れているのかは知りません。
でも、大好きな映画です
今泉監督の映画は好きですが、その中でもなんだか泣けるくらい好きです

自由であることは、難しいです。
多くのひとは、名前も源氏名で生きているわけではないですし、職業、血縁、地位、お金などに縛られて生きています。だから、ちひろさんのようにしがらみがなく、しがらみを自ら断ち切り、透明人間で、捉えどころがない人になることは不可能に近いかもしれません。
でも、自由でいるためには、孤独を手放してはいけない、ということは良くわかります

そして、そんな自由がちひろさんは、人の目を見れば、その人がわかるといいます。私もそのように、全てのその人が持っているものを横におき、その人のみを見るようにしたいと思いますし、私もそのように人から見られたいとこの映画を観て再確認しました

そして、この映画のもう一つの主題は愛でしょう。愛とは、親子の間だからあるわけでは無いですし、他人だから親子より愛がないということもありません。男女だから必ず恋愛という愛になるかというとそうでも限りません。友情だって立派な愛と言えるでしょう。
親子間のように世間の常識的には愛があるであろうというように人は思いがちですが、愛はもう少し捉えどころのないものであり、多様な人の間にある可能性があり、愛という名前で括ることが難しい多様な形を伴うものであろうことをこの映画は描いているように感じました。

愛についてですが、愛するということは人に期待することとイコールではないということもこの映画は伝えている気がします。人に期待するから裏切られるという感情が芽生えますし、それが執着になる気もします。

なかなかちひろさんのようには成れないですが、そんな難しいちひろさんが、映画の中に自然に存在したのは、有村架純さんならではだの思いました。
素敵な女優さんですが、この映画の有村さんの演技が大好きです。
そしてリリーフランキーさん、裏街道を歩いてきたヤサグレ感が半端なく出てて、さすがだと思いました。

いい映画に出会えて幸せです!
ちこちゃん

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