HAYATO

バイオレント・ナイトのHAYATOのレビュー・感想・評価

バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)
3.8
2024年312本目
サンタ苦労す。
武装集団VSサンタクロース
『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のデヴィッド・ハーバーが、武装強盗団と対峙するハメになった不運なサンタクロースを演じたアクションコメディ
物欲主義な子どもたちに嫌気がさして少々お疲れ気味のサンタクロースは、良い子にプレゼントを届けるため、トナカイの引くソリに乗ってクリスマスイブの空を駆け回っていた。とある富豪一家の豪邸に降り立ったサンタは、金庫にある3億ドルの現金を強奪しようと邸内に潜入していた悪党のスクルージ一味と鉢合わせてしまう。何も見なかったことにしてその場を去ろうとするサンタだったが…。
『ソニック・ザ・ムービー』のパット・ケイシー&ジョシュ・ミラーが脚本を執筆し、『セブン・シスターズ』のトミー・ウィルコラが監督を担当。共演に、『ザ・メニュー』のジョン・レグイザモ、ドラマ『エブリシング・ナウ!』のアレックス・ハッセル、ドラマ『ターミナル・リスト』のアレクシス・ラウダー、『アメリカン・ヒストリーX』のビヴァリー・ダンジェロ、『マグニフィセント・セブン』のギャム・ギガンデットらが名を連ねる。
本作で描かれるサンタクロースは、従来の心優しいイメージとは異なり、完全にやりがいを失った酔っ払いで、自暴自棄に陥っており、プレゼント配りに励むどころか、惰性で仕事をこなすだけの日々を送っている。サンタクロースが邸宅に無断侵入しているという設定も、窃盗団との対比を生む面白い要素で、窃盗団が明らかに犯罪者である一方で、サンタもまた一種の「侵入者」である状況が、不条理な笑いを生み出している。
本作の見どころは、何と言ってもアクションシーン。デヴィッド・リーチが設立し、『ブレット・トレイン』や『ジョン・ウィック』などで知られる「87North Productions」が手掛けたアクションは、非常に創意工夫が凝らされている。クリスマスのアイテムを武器として使用する発想は斬新であり、クリスマスらしさを強調しつつ、残酷さとユーモアを同時に提供している。また、『ホーム・アローン』のパロディとして、トルーディが窃盗団に仕掛けるトラップも、ケビン顔負けのものばかりでとても痛快。
夫婦仲が修復され、子どものクリスマスへの夢が実るという展開は、典型的なクリスマス映画の結末を踏襲しているが、それが血みどろの戦闘の合間に挟まれることで、独特なギャップを生んでいる。クリスマスのテーマを利用しながら、ここまで過激な内容を盛り込んだ本作は、家族で観るには少々刺激が強すぎるが、アクションやブラックユーモア好きにとっては、新しい定番のクリスマス映画になり得るかもしれない。
トミー・ウィルコラ監督によれば、既に続編製作が決定しているみたいなので、楽しみに待ちたい。
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