8Niagara8

少女は卒業しないの8Niagara8のネタバレレビュー・内容・結末

少女は卒業しない(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

東京国際映画祭で鑑賞。

原作は読んでいない。
4人の女子高生がメインとなることから発散して纏まりきらないのではないかという懸念もあったが、杞憂に終わった。
それぞれのシーンにテンポ感があり、2日間だけを描きつつ、余白も作ることでより作品的な出来が上がったのではないかと感じた。

最近河合さんに注目していることもあっての鑑賞ではあったが、他の俳優さんたちも好演だった。
キャラクターが粒立っていて、メインの4人だけでなく、その周りの人物にもリアリティがあるからこその完成度だろう。
また、4人もそれぞれが内面的な苦悩を抱えており、観た人それぞれが誰かしらにリンクする過去を持っていると感じられる。

鑑賞後、質問した方がいらっしゃったが、全体的にざらつきのある質感で、決して全てが輝いている訳ではなかったこの年代ならではに対する、謂わば感傷みたいなものがより作品への没入感を生んだのではないか。

鑑賞中、鑑賞後に想起したのは、モラトリアムともいえたあの時期、まだ何者でもない自分も悩みを抱えがらも、学生時代を謳歌し劇中での彼女たちと同様にして卒業を忌避していたこと。
しかし、今振り返れば有限的な時間軸に縛られていたからこそ、ジュヴナイルというものは美しいものなのだろう。
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