イスケ

パリタクシーのイスケのネタバレレビュー・内容・結末

パリタクシー(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

「ナイト・オン・ザ・プラネット」でもそうだったけど、タクシーには人生の交差点のような趣きを感じるよね。

マドレーヌの現在と過去を行き来するタクシー車内のシーンに、時々、街を俯瞰するショットが挟まれるのがまた良いのよ。

街の中には、星の数ほどの人生が存在するんだよなぁという気持ちに浸れるようで。


92歳にしてオシャレで毒気や機転も効くのって素敵だなぁ。

老害になることを恐れて聞き分けの良すぎる歳の取り方はやっぱり面白くない。
この年齢になろうとも、すべてを自分の頭で考えて、自分の足で歩こうとしている姿勢を、未来の自分のために覚えておきたい。

最後の展開はゴリゴリに予定調和なんだけど、まぁ泣くよねw
シャルルが泣いてるのを見てか、声出そうになったよ。

あと、「腕組んで良いかしら?」と言って腕を組んで歩いてる姿に色々な想いを感じて涙出た。


個人的に、過去を回想で振り返ってしまうのが安易に感じてしまって、もう少し会話の内容から想像させて欲しいなぁという気持ちがあったんですよね。

でも、若かりしマドレーヌのダンスによる幕の閉じ方を見て、これは回想で振り返ってきたからこそ生み出せたシーンだよなと、良い気持ちで着地ができた。


人生で最も輝かしいかった日。
そして老人ホームで人生に幕を下ろす日。
その間にはたった一日ほどの体感しかないというマドレーヌの気持ちがよく伝わってきた。

死の間際にシャルルと出会って、その日のことをたっぷり語れたことで、苦しい人生の中にあった輝かしい日を鮮明に思い出すことができたんじゃないかな。

その日の夢を見ながら、人生の幕を下ろせた。
そんな最後のワンシーンだったのだと信じたい。
イスケ

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