まる

大名倒産のまるのネタバレレビュー・内容・結末

大名倒産(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

公開初日、21:00上映回を観に行った。
もちろんレイトショーだ。

60席くらいあるシアター内には、お客さんが7人ほど。

私も含めて、全員がソロ客だ。

映画本編が始まる前のCMで、『それいけ!アンパンマン ロボリィとぽかぽかプレゼント』の映像が流れた。

これほどまでに、ターゲティングをミスった広告はそうそうお目にかかれない。

金曜の夜21時、仕事終わっても真っ直ぐ家に帰らない俺たちに、アンパンマンを一緒に観る家族がいると思っているのだろうか?

思えば、『大名倒産』のチグハグさは、この無関係なCMから始まっていたのかもしれない。

さて、写真集を買うくらい好きな役者さんである杉咲花・宮﨑あおいの2人が出てる映画ということで、公開前からめちゃくちゃ楽しみにしていた私は、

「いやー、生きてりゃ良いことあるもんだな」

と思っていたわけだけど、結果から言うと、2人の共演シーンはなかった。

序盤で「あ、これ共演シーンないやつだ…」と気付いて早々に夢破れたけど、まぁ良い、出演はしているのだから。

舞台は江戸時代、架空の越後・丹生山藩の若き藩主となった神木隆之介くんが、先代・佐藤浩市から引き継いだ借金まみれの丹生山藩の財政を立て直すか、無理だったら大名倒産して切腹するって話。

3万石の藩ってことだから、1年で3万人が食べる米分の収入があるってことなわけで、人口が3万人もいるような感じには見えなかったから「意外と裕福なのでは?」と思ったけど、そもそもそんな細かいことを気にする映画ではない。

時代劇なんだけど時代劇すぎず、全体的にコミカルに話が進む。

演技派の役者さんが集まっているからこそ、余計にそうじゃない役者さんのチグハグさというか、浮いてしまっている感じが目立つけど、それも意図的なのかなとも思う。

時代劇なんだけど時代劇すぎず、現代的な言葉遣いとか振る舞いも取り入れた、作り込みすぎない曖昧さを演出するため、ふわふわした存在としての役割があるのかなーなんて。

好きな2人が出ているから、好意的に見えてるんだろうなぁという自覚も当然あるわけだけど。

あと、浅田次郎原作だってのをエンドロールで見て知ったけど、『壬生義士伝』と同じ作者の作品を映像化したとは思えないギャップがまた凄い。

原作通りなのか、監督のテイストが結構入ってるのか分からんけど、買ってきたパンフレットを見て、作品に込めた想いとかを読んでみたいと思います。

全体的に軽いタッチだったから、楽しく軽く観れる映画でした。
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