天津甘栗

福田村事件の天津甘栗のレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
3.5
久しぶりに男前瑛太をみました。最近『友罪』や『怪物』で精神的にナヨいサイコパス瑛太を見ていたから芯の通った男!ってかんじの大将瑛太がかなり新鮮。っぱ疑う余地なく男前やな。

ムラ社会、偏見、抑圧、劣等感、罪悪感、思い込み、猜疑心、同調圧力、フェイクニュース、右に倣え精神、家父長主義思想、政府・マスコミによる世論操作…その積み重ねが心を蝕み恐怖を育み狂気を生む。
『アクト・オブ・キリング』で描かれたインドネシアの大虐殺を想起しました。日本でも類似の事象があったのは率直に驚きです…。

大将瑛太の、例のあの台詞にはハッとさせられたというより、そりゃそうだといった感覚でした。この感覚を大切にして何時も他に飲まれない様に、でもしなやかにいられるよう努めたいです。

事件は凄惨そのものだけど殺戮シーンの表現は割りかしソフトな匙加減に感じ、邦画界における自由描写の現時点での限界値と思いました。(観客を信じられなかった?)
直接的な映像表現をしたとしても、向き合い許容出来る器をもつ観客もいるはずだから、さらに研ぎ澄まして風穴を開けて欲しい。

あと、田中麗奈の浮世離れ感と、若手新聞記者の木竜さんやコムアイ、東出さん等の現代人がタイムスリップしたようなしっかりと自己主張ができるバランス感覚を持つ人物像は捉え方次第で◎と思うんですけど、私は当時こんな人いたのかな?と疑問が沸いてノイズでした。現代よりも、もっともっと言いたいことを言えない世の中(Poison)だったんじゃないかなぁというイメージがあります。
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